ウエットエリアとドライエリア

技術・サービス情報コーナー

食品工場は、材料の下地処理や加熱調理作業など水を多く使用する「ウェットエリア」と、充填室や包装室など水分がない環境が求められる「ドライエリア」に分かれます。それぞれの床仕様は、水洗いや水拭き、乾拭きに対応した清掃性、台車の移動などによる耐摩耗性や耐用性、維持管理性など使用用途によりさまざまな仕様が求められ、工場リニューアルの重要なポイントになります。

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    ウエットエリアの床仕様

    生産設備や調理器具などの配置に合わせた排水計画と適切な床勾配が重要です。また排水溝は蓋の開け閉めが容易にでき清掃しやすい構造のものが求められます。

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    ドライエリアの床仕様

    床は平らな仕上げで、グレーチング等の排水設備は基本的に設置しませんが、水拭き清掃などに対応したセミウエット用の排水設備を設ける場合があります。

食品工場の床仕様

食品工場の床はドライエリアとウエットエリアで大きく分けられますが、塗床でも耐熱性や耐薬品性、防滑性などの要求性能により仕様が異なってきます。また、下地になるコンクリート床の状態によって塗床の品質にも大きな影響が出るため、改修時には表面の塗り替えだけでなく、下地の補修もしっかり行うことが大切です。

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床の隅部の仕様

食品工場ではウエットエリア、ドライエリアともに清掃のしやすい床が求められています。特に塵や埃などの汚れがたまりやすい床の隅は、巾木に半径25~50mm程度のアールをつけて清掃が容易にできるようにしています。

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    下地+塗床タイプのR巾木

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    アルミ製R巾木

ウエットエリアの内装仕様

ウェットエリアでは下地処理や加熱調理などの製造段階で、水や熱湯、具や汁などがこぼれたりします。床は常時に濡れて汚れやすい状況にある場合が多く、毎日の水洗いで水はけがよく、効率的にきれいに清掃できる床が求められます。

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    適切な床勾配

    ウエットエリアの床は排水溝、排水桝に向かって1/50~1/100程度の勾配をとり、水たまりをつくらないように計画します。また、排水溝や排水桝の蓋はメンテナンス上容易に開け閉めできるように作業台や機械の下にならない配置にします。

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    メンテナンスしやすいカゴ付きSUS排水桝

    排水桝はカゴ付きのものを使用して、排水管のつまりの原因になる食品残渣などが直接流れないようにします。

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    グレーチング

    グレーチングの溝の隙間(細目)は、台車の車輪がはまらない20mm程度の寸法が適切です。また油類や水にぬれると滑りやすくなるため、表面はすべり止めを施したものを選定します。

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    ドアピットで水の侵入防止

    ウエットエリアからドライエリアへの出入口にはドアピットを設置し、ドライエリア側に水が浸入しないようにします。

ドライエリアの内装仕様

ドライエリアの床は、生産過程で主に水を扱う作業が無いため、いつも乾いた状態ですが、毎日の清掃は欠かすことができません。塵や埃などが溜まりにくく、清掃しやすい内装仕様が基本になります。
しかし、ドライエリアでも全く水を使わない室ばかりでなく、水拭きや定期的な水洗いを必要とする室もあり、簡易的な清掃用の排水設備などがあると便利です。

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    水拭き清掃用排水目皿(セミウエット対応)

    簡易的な水拭き清掃用の排水目皿。殆ど排水を使わないドライエリアでは封水が切れて、排水管から虫が侵入する可能性もあるため、排水設備を設けないか、あるいは完全密閉機構のあるものを選定する必要があります。